『 夜宮香蓮、絶望世界 』
感想レビュー
読了した正直な感触として、「部活女子」シリーズの集大成にふさわしい一冊だと感じた。長らく名前だけ登場してきた風紀委員長・夜宮香蓮がついにメインステージに立つ。金髪碧眼で気の強いハーフ美少女という、これ以上ないほどの属性盛りで登場し、今までに「堕ちた」ヒロインたちを総動員して徹底的に追い込まれていく。シリーズを追ってきた読者にとっては「あのキャラのその後」を確認できるというファンサービス的な楽しさがあり、同時に香蓮を追い詰めるための布石として機能しているのも面白い。
一方で「過去作を全部読まないと楽しめないのでは」と思うかもしれないが、最低限「陸上女子」「剣道女子」「文学女子」を押さえておけば流れは理解できるという意見もあった。たしかにヒロインのバックボーンを知っているほうが興奮度は増すが、それほど敷居は高くない。逆に「香蓮編きっかけでシリーズを読み直したい」という使い方もできそうだ。
作品自体は「堕ちの過程をじっくり味わう」構成で、序盤はまだ反抗的な香蓮が、陸上女子・世那との関係性を皮切りに徐々に崩されていく。気丈で男嫌いだった彼女が、圧倒的な力と快楽に翻弄され、可愛らしい声を漏らしていくギャップは多くのレビューでも好評だった。対して「身体は屈しつつも精神的な決定的敗北までは描かれていない」という見方もあり、完全陥落は次巻に持ち越されるとの予想も多い。
集大成感は確かに強い。各章タイトルが過去作を踏んでおり、まるでこれまでの総決算を巡礼するような構成。野球部ヒロインの再登場や、調教済みキャラが“先輩”として香蓮を堕としにかかる姿に「ついにここまで来たか」という感慨を覚える人は多かった。その一方で、「未登場の水泳やバレー、そして生徒会長の文学女子が控えている以上、これはまだ最終巻ではない」という声も。実際、作者のSNSでも「もう少し続く」とされており、シリーズ完結へ向けた布石の段階と考えたほうがよさそうだ。
総じて、賛否はあるが評価は概ね高い。特に長年シリーズを追ってきた読者ほど「待っていたものがようやく来た」という満足感が強く、シリーズ最高傑作とまで推す声もある。物足りなさがあるとすれば「まだすべてが終わっていない」という意味での不完全燃焼さだが、むしろ続編への期待を煽る仕掛けだと言える。
――結論としては、「舞条ワールドの集大成的に楽しめつつ、なお続く物語への期待で胸を膨らませる一冊」。香蓮堕ち完全版を望む声も多く、シリーズを追うなら避けられない重要作といえるだろう。
作品情報
「やめてっ、私は一生、男に身体を渡さないって、あっ」
金髪碧眼、気が強くて男嫌いの風紀委員長・夜宮香蓮。
鬼畜少年に肉槍で貫かれ、生まれてしまう性悦に必死に抗う。
剣道女子・麻比奈朱美、牝豹教師・橘燈子、
野球女子・仲野千夏、陸上女子・荒鷲世那……
彼女の周りのすべての女が、すでに奴●に堕ちているとも知らず……
舞条弦の「部活女子シリーズ」、狂瀾怒濤の最終章へ!
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