『 無花果様の、仰せの通りに 』
感想レビュー
「無花果様の、仰せの通りに」は、現代的で気丈な管理職の女性・京香が、故郷の因習に巻き込まれて次第に屈服していくNTR作品として高く評価されています。働く「できる女」としての強さと自信を持ちつつも、古い慣習に翻弄されていく彼女の心理変化や体の変化をじっくり描き出しており、その展開の妙に多くの読者が引き込まれました。
まず注目されるのは、単なる寝取られものにありがちな「部下はヒロインを軽蔑している」というクリシェを外し、部下の感情が「怯えに近い服従」から始まる点です。この設定がストーリーに深みを加え、ただの乱暴な寝取られではない独特の緊張感を生み出しています。さらに、やや無能な部下が開発し、次に弟が介入して一気に物語が加速する展開は見事で、二重寝取られ、さらには3Pシーンも絡んで深みを増しています。
夫の慎一郎はほぼ無力な存在として描かれていますが、「見られていることに気づかない部下」と「見られていることを承知で見せつけてくる弟」という構図が巧妙に対比され、全体の構成力の高さがうかがえます。また、因習「無花果様」が真実なのか幻なのか曖昧なまま進むことで、それぞれの登場人物がどう巻き込まれていくのかがじわじわ読み手の興味を引きました。
ただ、最終日の相手役が別の男に変わってしまう展開を苦言する声もあり、寝取られものとしての一貫性に欠けると感じる読者もいるようです。しかし、それでも終盤のヒロインの姿は、強い女性がセックスの沼にゆっくりと沈み、心は夫を離さずとも肉体は抗いがたく開かれていくという主人公の葛藤を説得力を持って描いています。これは他の多くのNTR作品がやや軽視しがちな、体の開き方に焦点を当てた繊細な心理描写で、作者の特筆すべき持ち味といえます。
読後感としては、故郷の因習に抗えずに滲む悲哀がありつつも、ヒロインは終始自分の背筋を伸ばして立っているという矛盾と強さの両立が魅力的です。ラストに至るまでのリアリティ、説得力のある設定と展開から、リアルドリーム文庫のNTR作品として十分に名作と呼べる仕上がりです。強気な女がみるみる堕ちていく過程は刺激的で、多くの読者の歪んだ願望を存分に満たしているとも言えます。
一部のレビューでは「結末のその後パート」が日常の侵食感を強め、より抜けたとの声もありました。挿絵の好みや描写のリアルさも含め、購入を後悔しないという意見が多いのも特徴です。
まとめると、「無花果様の、仰せの通りに」は、単なる寝取られを超えた心情の複雑な絡み合いと、因習という古い価値観に投げ込まれた現代女性の葛藤を鮮やかに描いた作品です。多少の好みの差はあれど、説得力のある設定と精緻な心理描写、構成力の高さからみて、NTRもの好きに強くおすすめできる一冊と言えるでしょう。
作品情報
夫の見ている前で快楽に喘ぐ若妻
夫・慎一郎とともに実家の村に帰郷した京香は
因習により、村の神事に参加することに。
その神事とは夫婦の模倣による性交のことで――。
「今は夫のことは、言わないで……お願い……」
やがて神事の行われる社へと迷い込んだ慎一郎は、
自らの妻が抱かれる姿を目撃するのだが……。
日常に密着したエロス、リアルな舞台設定で送る官能小説レーベル第198弾!
<登場人物>
●瀬戸 京香(せと きょうか)
スレンダーだがしっかりと主張する巨乳を持った美人妻。職場では鉄壁の才女とも言われるほどのキャリアウーマン。
●瀬戸 慎一郎(せと しんいちろう)
京香の夫。温和な性格で、主夫として妻を支えつつ、絵本作家としても活動中。
●御手洗(みたらい)
京香の年上の部下。固太りで、覇気のない男。
●御手洗 孝介(みたらい こうすけ)
御手洗の弟。やせ型の金髪で、兄と違って社交的な性格。
<目次>
プロローグ 日常と幸福
第一話 帰郷と奇習
第二話 欺瞞と憤懣
第三話 快楽と子種
最終話 開花と祝福
幕間 暴走と陵●
サンプル
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