『 海の上に咲いた月下美人 』
感想レビュー
寝取られ(NTR)ジャンルの中でも屈指の完成度を誇る作品だと感じました。寝取られ小説がここ10年で一気にジャンルとして定着・発展する中で、本作はその「戦国時代」を生き抜くハイレベルな一冊と言えるでしょう。特に原作同人系ではなく、完全オリジナルストーリーで高い実用性と独自性を兼ね備えている点は高く評価されており、懺悔先生の実力を再認識させられました。
中でもヒロイン——勝ち気な女探偵・七瀬のキャラクター造形が印象的です。それまで精神・フィジカルともに強キャラな彼女が、終盤で心身ともに堕ちていく様子が丁寧かつ濃密に描かれており、特に「精神と肉体のアンバランスさ」は作品の深みとして絶賛されています。淫語の使い方や崩れ落ちていく過程、その一つ一つの描写にもハイクオリティさを感じました。
また、挿絵を手掛けた夏桜さんとのコンビネーションも素晴らしく、ビジュアル面の相乗効果で「抜けない訳がない」という声も多数。物語のテンポやイラストのタイミングにも神がかり的なマッチングがあり、衣装の変遷や表情の描写も物語に臨場感を加えています。近年の官能小説の中でも「最高傑作」「大当たり」と評する向きは多く、アニメ化やDVDPG化を望むほど熱烈な支持を受けています。
一方、ファンタジー色の強い淫語や展開に若干の引っかかりを覚えるという意見も見られました。特に、ヒロインが初めから自発的に淫語を使う点が現実的とは言い難いと指摘されており、登場人物の心理描写には極力リアルさを求める声がちらほら。ただ、この「リアルさ」と「ファンタジー性(演出)」のバランスこそが懺悔先生の持ち味であり、逆に「そのテンプレでいい」「ベタだけどベター」という立場からは高い完成度として受け止められています。
ストーリー構築の妙もさすがです。例えば密室での主要キャラクター4人による場面や、物語の「山」の描き方、省略や伏線回収の巧みさなど、随所に職人技が光ります。全体として従来のNTRファンはもちろん、初挑戦の読者にとっても「買い」であることは間違いありません。展開や設定のベタさを超えて読者を惹き込む「堕落の深度」や、終盤に見せるヒロインの変化が、まさにこのジャンルの醍醐味だと思います。
総じて、些細な欠点はあれど「海の上に咲いた月下美人」はNTRジャンルに新たな金字塔を打ち立てたと言っても過言ではないでしょう。懺悔先生の次回作にも期待せざるを得ません。
作品情報
女探偵が恋人を守るため寝取られる!?
恋人兼同僚の平蔵と共に違法●物捜査のため、
バニーガールとして、豪華客船へと潜入した女探偵の七瀬。
だが、悪漢たちに素性を知られてしまい、
恋人の前で屈辱的な性奉仕を強要されてしまう。
(クソ……平蔵相手だとこんな簡単にイかないのに……)
やがて快楽は、勝気な乙女を淫らに染めていき──。
日常に密着したエロス、リアルな舞台設定で送る官能小説レーベル第205弾!
<登場人物>
●水倉七瀬(みずくらななせ)
容姿端麗で男勝りな性格の女探偵。
●町田平蔵(まちだへいぞう)
七瀬の相棒であり、恋人。
●神田(かんだ)
神田重工の社長。
●篠塚(しのづか)
豪華客船の警護を一任されている男。
<目次>
プロローグ
第一話 「接待」
第二話 「潜入」
第三話 「下船」
第四話 「リベンジ」
第五話 「依存」
最終話 「開花」
サンプル
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