【感想レビュー】華と蛇

『 華と蛇 』

作品情報

清楚で知的な顔だち、濃紺のスーツに包まれた肢体……
悪を憎み、正義を貫く敏腕弁護士・藤原未華子（30）。
女性を拉致し、性奴隷にする組織「闇の蛇」は、
未華子が信頼する女探偵を襲い、花芯責め地獄に。
女弁護士自身も調教され、恥辱の法廷に立たされる。
ついには愛する妹・絵美里までが悪魔の生贄に……

基本情報

感想レビュー：前半の女探偵描写が圧倒的、後半は未完成感

夢野乱月『華と蛇』は、2020年8月に刊行された官能小説である。複数のヒロインが登場する構成で、特に前半の女探偵パートが多くの読者から絶賛されている一方、後半の展開については賛否が分かれる作品となった。

圧倒的な評価を得た前半の女探偵パート

本作で最も高く評価されているのが、一人目のヒロインである女探偵の描写だ。「前半の女探偵への責めは最高でした。こう言うのが好き!」「前半の怪盗がいい」「前評判通り1人目がとても良かったです」といった声が複数寄せられており、この部分だけで星5つをつける読者もいる。

「一人目の強気な女性を落とすプロットや描写はとてもいいです」という評価が示すように、気の強いキャラクターが追い詰められていく過程が丁寧に描かれている点が魅力だ。「似たような作品が出れば即買いしたいです」という熱烈な支持からも、この部分の完成度の高さが窺える。「昔からこの作者のファンです」という長年のファンも前半部分を絶賛しており、作者の得意分野が存分に発揮されたパートと言える。

二人目以降の展開への不満

一方で、二人目以降のヒロインについては評価が分かれている。メインヒロインである弁護士については「あっという間に落ちてしまい残念！もう少し抵抗してくれれば」という声があり、展開の早さに物足りなさを感じる読者もいた。ムチ、SM、浣腸といったバリエーションは用意されているものの、心理的な抵抗や葛藤の描写がやや不足していた可能性がある。

三人目の妹については「途中まではいいのですが、未完です！」という指摘が複数あり、物語が完結していないことへの不満が目立つ。「加筆版等出れば買います」という要望からも、読者が続きを強く望んでいることが分かる。ホステスの登場についても「最後のホステスは怪盗の方が良かったんじゃ」という意見があり、キャラクター配置への疑問も呈されている。

媚薬設定と世界観への言及

作品内の設定についても、いくつかの指摘がある。「ただ媚薬は…。使わないで頑張ってほしかったなぁ」という声は、媚薬という便利な設定に頼らず、純粋な心理描写で攻略してほしかったという要望だ。また「中出し嫌がるからの顔射ってのが残念。今までの作品でもあるけど約束破って中出しの方が良かった」という具体的な展開への好みも示されている。

興味深いのは「誰か教えて欲しいんですが今回出てくるヤクザの組と龍岡は過去作の龍岡と同じなんですかね？大物フィクサーみたいな人が別人ですが」という質問で、これは作者の作品群に登場するキャラクターや組織に連続性があることを示唆している。長年のファンにとっては、こうした世界観の繋がりも楽しみの一つになっているようだ。

限定的なネット上の反応と潜在的評価

ネット上の公開レビューは限定的で、読書メーターやブクログといった主要レビューサイトでは登録数はあるものの、詳細なレビュー投稿はほぼ見られない。コミックシーモアで評価4.0、楽天ブックスで3.0、オトナ文庫で3.8という数値が確認されているが、レビュー本文の詳細は取得できなかった。

それでも「内容がいいです」というシンプルながら肯定的な評価や、「前評判通り」という言葉から、口コミで作品の魅力が伝わっていることが窺える。2020年8月発売で文庫ランキングにも登場していることから、一定の販売実績はあるものの、ネット上での感想共有は活発ではない状況だ。

前半部分の完成度の高さは多くの読者が認めるところであり、「怪盗→メインヒロイン弁護士→弁護士、妹、ホステス」という構成の中で、特に最初のパートが際立って評価されている。後半の未完成感さえ解消されれば、より高い評価を得られる可能性を秘めた作品と言えるだろう。

3.6

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