『 おんな剣士三姉妹 』

作品情報
「剣で私を打ち負かす殿方がいれば喜んで嫁ぎます」
本所深川に知れ渡る早乙女道場の美人三姉妹。翳り
の深い美貌と雪肌を持つ長女・志乃。青袴姿が凛々
しい次女・佐那。天真爛漫な三女・真央。江戸を騒
がす「後家狩り団」事件の裏に享保の改革に反対す
る柳沢派の陰謀が潜むことに気づいた三姉妹を貞操
の危機が襲うが……御堂乱が挑む新たな女剣士伝説
基本情報
感想レビュー:タイトル詐欺との声も、時代劇としての魅力はあり
御堂乱『おんな剣士三姉妹』は、時代艶文庫から刊行された江戸時代を舞台にした官能時代小説である。タイトルから女剣士三姉妹の活躍を期待する読者が多い一方で、実際の内容は人妻・未亡人を中心に据えた展開となっており、この点が賛否を大きく分けている。
タイトルと内容のギャップが生んだ評価の二極化
本作に対する最も多い批判は「タイトル詐欺」という指摘だ。「女剣士三姉妹というだけでかなーり萌えるものがあるのですが、本作でのエロのメインはあくまでも人妻です」というレビューに代表されるように、タイトルが示唆する女剣士要素への期待と、実際に人妻キャラクターが中心となる内容のギャップに失望する声が目立つ。「『女剣士三姉妹』というワードだけで十分ご飯三杯いけるんですが、本作の主役はあくまで人妻。肉なしのカレーを食わされた気分」という辛辣な表現も見られた。
公式サイトの抜粋でも、未亡人・初江が「後家狩り」と称する団体に襲われるシーンが大きく扱われており、タイトルの三姉妹よりも人妻・未亡人の描写に重点が置かれていることが確認できる。女剣士ファンからは「女剣士ファンとしては多少物足りない感が残った」「ヒロインの佐那が袴を引きずり下ろされるシーンがあるのは良かった」と、限られた女剣士描写を評価しつつも不満を示す声があった。
時代劇としての完成度と物語性
一方で、時代小説としての側面を評価する声も存在する。「はらはらするストーリーと女性の描写がきれい」という肯定的なレビューや、「幕末ものなので、思わずニヤッとする設定が所々あります」といった時代考証の面白さを楽しむ意見もあった。また「今回のお話は面白く美臀オチも利いています。Hは程々。値段もお手頃で枚数の少なさもプラスに働いた印象」というように、ライトな時代活劇としてのバランスを評価する読者もいる。
「予め『こういう作品』とわかっていたなら、その手のもの、ライトなお色気時代活劇としては、悪くない出来」という指摘は重要だ。期待値を適切に設定できれば楽しめる作品であることを示唆している。ただし「物語の最初は引き込まれたのだが、主人公の展開が期待外れだった」という声もあり、序盤と中盤以降での温度差を感じる読者もいたようだ。
シリーズ化前提の構成への賛否
「いかにもシリーズ化を狙ってきてるかんじなのがちょっとアレ」「シリーズ化するのバレバレの展開で萎える」という批判も複数見られた。物語が一作で完結せず、続編を前提とした構成になっていることへの不満である。「私が先生に求める物はあの描写です。天狗になっているヒロインが完膚無きまでに堕とされてしまうその姿を見たいのです。そしてそこから這い上がり立ち上がり仲間と共に天誅を下す物語を見たい」という熱いリクエストからは、読者が御堂乱作品に期待する展開の理想像が垣間見える。
タイトルから女剣士の活躍を期待する読者には物足りなさが残るものの、時代劇の雰囲気とライトな官能描写を楽しむ作品として捉えれば、一定の完成度を持つ一作と言えるだろう。
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