『 陸上女子、疾走無惨 』
感想レビュー
『陸上女子、疾走無惨』は、舞条弦先生が得意とする「堕ちモノ」路線を踏襲しつつも、やや明るめの後味を残す作品でした。
主人公は女子陸上部のエースにして“王子様”ポジションのボクっ娘・世那。同性の恋人(風紀委員長の香蓮)からも後輩女子からも慕われる彼女が、ある日校内での情事を盗撮され、そこから脅迫と調教の泥沼へ引きずり込まれていきます。
物語は暴力ではなく、執拗なまでに甘やかしつつ快楽で絡め取る調教パートが中心。序盤の世那は「男子からはモテない」と思い込んでいる素朴さがあり、その“自分の魅力を知らない”危うさが実にそそる。調教を重ねるほど、自分の中に眠っていた性的魅力と欲望に気づき、やがて恋人のために別の少女を調教する手助けまでしてしまう結末は、本人なりに充足感すら漂わせています。悲壮感はあまりなく、「快楽に落ちていく悦び」を前面に出した作りなので、堕ち系でも重苦しさが苦手な人には入りやすいかもしれません。
レビューでも評価は概ね高く、「ボーイッシュな王子様キャラが、お姫様扱いで堕ちていく様は非常にエロい」、「可愛い子がそこそこ酷いことをされるのに、読後感は前向きにすら感じられる」といった声が目立ちます。特に性描写の濃厚さは好評で、輪姦・露出・アナルなど多彩なプレイがねっとり描かれ、テンプレの凌辱展開でありながらマンネリ感を感じさせない構成力が光っていました。
一方で、不特定多数の中年男性とのパートが多く、「その手のシチュエーションが苦手な人には向かない」という指摘もありました。また、百合成分はあくまでNTR的カタルシスのための前振りに過ぎず、純愛百合を期待して読むと肩透かしになるという意見も。
個人的には、世那が“王子様からお姫様へ”と変わっていく過程こそがこの作品の魅力だと感じました。強制的に与えられた快楽が、彼女の中の「かわいくなりたい」という乙女的部分を歪んだ形で叶えていく――その皮肉と背徳感が、このシリーズらしい背徳の美学になっていると思います。とにかくエロの熱量が高く、キャラ属性の使い方が的確なので、王道凌辱が好きならかなり満足度が高いはずです。
作品情報
「息ができない、これが男の人の××なのっ」
後輩から慕われるボーイッシュ陸上女子が、
禍々しい肉杭に穿たれ、牝の顔を露わに……
風紀委員長・香蓮との百合色の秘密を
魔悦で上書きされ、小麦色の肌を愉悦に震わせ、
世那は陸上部の奴●姫へ──疾走する黒い青春。
(文庫換算365ページ)
サンプル
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