『 憧れの女上司が、相部屋出張の隣のベッドで絶倫男に寝取られている 』
感想レビュー
全体として、この作品は「真面目で優しい女上司が寝取られる」という、やや王道ながらもキャラ造形が秀逸なNTR（寝取られ）モノだと感じました。よくある“性格キツめ”や“高嶺の花感”で押す女上司ではなく、しっかり者なのに人当たりが良く、部下からの信頼と憧れを自然に集めるタイプ。この“現実的だけど魅力的”なキャラデザインが、読者を物語に引き込む大きな要因になっています。恋愛面ではややウブで、百戦錬磨のカメラマンに一気に距離を詰められ、抵抗する間もなく心身を絡め取られていく様子は、スピード感がありつつも破壊力十分。
確かに、堕ちるまでの展開は性急で、心情描写の積み上げが淡泊だと感じる部分もあります。ただ、それはフランス書院eブックス系の短尺NTR作品にありがちなテンポ感で、「そういうフォーマット」として割り切れば十分に楽しめる範疇。むしろ冗長な描写がない分、実用性を重視する読み手には好都合かもしれません。
また、同作者の別作『憧れのGカップ女上司～』ではヒロイン視点への切り替えが多かったのに対し、本作は主人公視点に終始しており、寝取られ好きには感情移入しやすい構成になっています。細やかな所作の描写や、ふと見せる表情の変化など、小技の効いた文章力が光るポイントも多く、単なる展開重視作品にとどまらない魅力があります。こうした“ちょっとしたディティール”がキャラクターを生き生きとさせていて、同ジャンルの中でも印象に残る作りだと感じました。
一方で、「主人公がただのカスなだけで、引き込まれなかった」という酷評もあり、ドラマ面を重視する読者には物足りなく映る可能性はあります。主人公像に説得力や共感を求めるタイプには刺さりにくい部分があるのも事実です。
とはいえ、個人的にはこの作品、短尺NTRの中でキャラの魅力づけとストーリーの簡潔さがバランスよくまとまった一作だと思います。大げさな山場や過剰な心理戦ではなく、あくまで日常の延長線上にある背徳感をサクッと味わいたいときに最適。このジャンルが好きなら外さない良作、というのが正直な印象です。
作品情報
目が覚めたら、ホテルのベッドの上だった。
隣のベッドでは、憧れの結衣先輩が肉茎に貫かれ身悶える姿が……
27歳の上司、両片想いの先輩と手違いで相部屋になった沖縄出張。
大好きだった彼女が処女を散らされ絶倫男の肉棒で漏らす喘ぎ声を、
俺は寝たフリをして、一晩中聞かされることしかできなかった。
eブックス賞受賞作家が贈る、興奮と絶望の書き下ろし長編！
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