【感想レビュー】いけないこと、したい？

『 いけないこと、したい？ 』

作品情報

隔離された施設で過ごす早熟少女たちとの一夜。あどけないのに大胆な誘惑に抗えず……

大学生の京司は、母親違いの妹・香奈子に会うべく、僻地にある名門私立校の女子寮に赴くが、悪天候のため運悪くそこに滞在するはめになってしまう。寮にいる「大人」は京司のみで、他は少女ばかり。早熟でワケありな彼女たちとの異様な一夜が始まる……

基本情報

感想レビュー：山奥の女子寮を舞台にした独特な物語

本作は、主人公が父の隠し子に会いに山奥へ出向くところから始まります。深い山中、がけ崩れで外界と隔絶された女子寮という舞台は、一歩間違えばミステリやホラーとして展開しかねない設定。その点で「作者は別ジャンルにも挑戦できるのでは？」と感じさせる声もありました。実際は従来通りの路線に収まりつつも、舞台装置としての面白さが作品の雰囲気を違ったものにしています。

シリーズ作からの変化と広がり

普段は「一人の男性と多数の女性」という構図が多い作者ですが、本作ではその関係性に少し変化が見られ、新しい可能性を感じさせるとの感想も。レビューの中には「芸風を広げ始めているのでは」と期待する意見もあり、今後の展開に対する読者の期待感が垣間見えます。

世界観とマンネリ感

一方で、「独特の地下組織を描くのは面白いが、パターン化してきている」という声もあります。同系統の作品を読み慣れた読者ほど、新鮮味に欠けると感じるようです。そのため「手法や演出にひねりを加えてほしい」といった要望も見られました。

読者の満足点と物議

特定の嗜好に合致している読者には強い満足感を与えている一方で、その内容の強烈さから「受け取り方に温度差がある」と感じました。作品全体を「作家が特定読者層の心理をよく理解して描いている」と評価する人もいれば、「あまりに直球で後半がやや駆け足」と惜しむ声も。賛否は分かれつつも、特定層に強烈に刺さる作品、とまとめられそうです。

総評

個人的には、舞台設定の使い方に少しミステリ的な可能性を感じたのが印象的でした。ただ読者の多くが触れているように、後半は展開が急ぎ足で、もっと広げてもよかったのでは、とも思います。それでも「作者らしい濃度」で描かれた物語であり、ファンには十分楽しめる一冊ではないでしょうか。

3.5

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