『 45日調教 女銀行員理沙・二十八歳 』
感想レビュー
官能小説 『45日調教―女銀行員理沙・二十八歳』 を読んでみて、まず感じたのは「今の時代には珍しいほどハードに寄せた作品」だということです。最近の官能小説は読者層の高齢化に合わせてか、比較的ソフト路線に流れている印象がありますが、本作は真っ向からそれを逆行しており、鞭や鎖を使った責め、監禁描写までを駆使して徹底的に“調教”を描き出してきます。その苛烈さに久しぶりに「これは本格だ」と感じさせられました。特に、鞭打ちによって理沙が絶頂する場面などはクラシカルかつ王道のマゾ描写で、読者によっては興奮を隠せないところでしょう。
一方で、こうしたハード路線だからこそ評価が分かれるのも事実です。ある読者は「処女作らしく多少ぎこちないが、長期にわたって清楚な女性が堕ちていく構成は十分に興奮できる」と高く評価する一方で、「心理描写が薄く、調教ではなく凌辱の連続にすぎず心の堕落が物足りない」と語る声もあります。私自身も読んでいて、確かに心の変化をじっくり楽しみたい読者には不満が残るだろうなと感じました。その点、ハードSMを割り切って楽しめる人向けの作品なのだと思います。
また、方法論に対しても賛否が顕著でした。「写真をばらまくぞ」という類型的な脅迫が使われており、こちらを「古臭いがむしろリアリティがあって良い」と受け取る人もいれば、「ありきたりでくだらない」と切り捨てる人もいます。私は“過剰に新しさを求める必要はないのでは”と感じました。むしろ調教ものには、この手のシンプルな構造が一番生々しく響く部分もあるからです。
ヒロイン・理沙のほかに、小夜子というもう一人の女性キャラクターを配置している点も大きな魅力の一つでしょう。小夜子に惹かれる読者も少なくなく、理沙と小夜子が堕ち、主人公の支配が確立していく過程を“男冥利に尽きる”と評する意見も見られました。逆に、二人目が登場してからは失速するという声もありますが、それも物語が冗長に映るか、それとも倒錯が深まっていくと見るかで、受け取り方が分かれるのでしょう。
総じて、内容の過激さと直截さが最大の魅力であり、そこで割り切れるかどうかが評価を左右する一冊だと感じます。BDSM的な心理の交歓を期待する人には物足りず、陵辱劇そのものを楽しみたい人には強烈に刺さる作品。自分はどちらかというと後者寄りなので、“久々に読後感の重い、でも印象に残る”調教小説でした。
作品情報
NY出張前夜、結城理沙を誘拐したのは同僚だった!行員達を虜にする美脚、麗しい朱唇、艶やかな双臀――。気品溢れる28歳の身体を独占し、隅々まで貪る生活。抗う心とは裏腹に、一日一日理沙の隠された性が露わに…。誘拐犯と二人だけの監禁室で女の悦びに満ちた声が響く。45日調教の果て、美麗な牝奴●はどこまで堕ちてしまうのか?
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